改訂版の発刊にあたって
(社)日本アスファルト乳剤協会
会 長 河 野 恭 一
 アスファルト乳剤は大正末期に初めて舗装材料として導入され、防じん処理として使用されたのが我が国における乳剤舗装のスタートです。その後、乳剤工法は簡易舗装へ積極的に採択され、我が国の舗装率の向上に貢献してまいりましたが、加熱アスファルト混合物の普及と定着により、舗装分野での乳剤使用量は減少してまいりました。
   しかし、近年では乳化技術の発達に伴い、様々な改質材が利用できるようになったことから耐久性および養生時間短縮の両面で、その性能は飛躍的に改善してきております。
 当協会では、このような状況に鑑み、舗装現場の第一線に従事される技術者の方々に、アスファルト乳剤および乳剤を利用した舗装への理解を深めて頂くため、アスファルト乳剤に関する技術冊子として「アスファルト乳剤一般的な性質とその応用」を平成8年に発刊、平成14年には改訂版を発刊いたしました。
 その後、(社)日本道路協会において「舗装設計施工指針」、「舗装施工便覧」が出版され、さらには「舗装設計便覧」その他技術基準類の出版・改訂が予定されており、当協会におきましてもアスファルト乳剤の協会規格の見直しを実施いたしました。
   また近年、舗装工事においては、性能規定や総合評価方式の発注が拡大し、平成17年4月には「公共工事の品質確保の促進に関する法律」が施行され、道路舗装資材は品質ならびに性能面での一段の高度化が求められております。
   これらの背景を踏まえ、アスファルト乳剤の規格改訂や乳剤に関する技術の進展など内容の充実を図り、当冊子を新時代のアスファルト乳剤に関する手引き書としてリニューアルすべく全面的に見直し作業を進め、ここに改訂版(第二版)を発刊する運びとなりました。
 平成17年2月に京都議定書が発効となり、我が国も温室効果ガス排出削減の義務を負うことになりました。アスファルト乳剤を用いた常温舗装は、加熱舗装に比べ二酸化炭素(CO2)の排出量を削減できる可能性を秘めた地球環境に優しい工法であります。
   そのため当冊子がアスファルト乳剤および乳剤舗装への理解の一助となり、環境に優しい新たな常温舗装工法の普及と発展に少しでも寄与することを念願しております。
                                             
平成18年2月